一問一答解説

2024「電車で一問一答トレーニング」No.32解説

【問32】正誤問題
Aから土地を賃借したCが、その土地上に自己名義で保存登記をした建物を所有している。その後、Aの所有地をBが取得したが、Bはまだ所有権移転登記を受けていない場合、Bは土地の所有権をCに対抗することができない。

解答:正

解説:

不動産の取得などの物権変動は、登記がなければ「第三者」に対抗することができない。
登記がなければ対抗できない「第三者」とは、「当事者またはその包括承継人以外の者で、登記の欠峡を主張するについて正当な利益を有する者」をいう(判例)。
借地上に登記ある建物を所有している賃借人は、登記の欠訣を主張する正当な利益を有する「第三者」にあたる。
したがって、Bは登記なくして土地所有権をCに対抗することができない。


※事例が少し複雑な問題です。このような事例を正確に把握できる実力を付ければ十分に合格レベルです。

Cは借地上に登記された建物を所有していますから、対抗力を有しています。対抗力ある賃借人が存在することを前提に、Bは土地を購入しているのです。
ところで、Bの所有権と、Cの賃借権とは完全に両立するから、これは正確には、対抗力の問題ではありません。
貸主としての権利義務の移転を、どのような基準で処理すれば良いのかの問題なのです。
この場合に、「Bが土地所有権をCに対抗できるか?」というのは、要するに、Bは「自分が新しい地主である」と主張して、地代の請求ができるのか?という問題です。

結論は、「Bは所有権の登記を備えなければ、Cに対して地代の請求ができない」ということになります。
これは、Cが誰に地代を支払えばよいのかを明確にするために、「土地の所有権の登記を備えた人に支払えばよい」としているのです。

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2024「電車で一問一答トレーニング」No.31解説

【問31】

甲土地がAからB、BからCと売却されており、AB間の売買契約がBの強迫により締結されたことを理由として取り消された場合は、BC間の売買契約締結の時期にかかわらず、Aは登記がなくてもCに対して所有権を主張することができる。

解答:誤

強迫による意思表示は、取消の第三者には、その取消しを主張できる。しかし、取消の第三者に対しては、登記を備えなければ、所有権を対抗できない。よって、BC間の売買契約の時期にかかわらず主張できるわけではない。

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