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2022「電車で一問一答トレーニング」No.99解説

【問 99】正誤問題

[小問1]
宅建業者が、土地付建物の売買の媒介を行う場合の、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、契約の解除に関する事項については、特に定めをしなかったので、宅建業者でない相手方に対して解除の方法について説明をしなかった。これは宅建業法の規定に違反しない。

〔小問2〕
宅建業者が、土地付建物の売買の媒介を行う場合の、宅建業法35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、損害賠償額の予定又は違約金に関する事項について特に定めがない場合には、宅建業者でない相手方に対して説明を省略しても宅建業法には違反しない。

〔小問3〕
宅建業者が、土地付建物の売買の媒介を行う場合の、宅建業法35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、売買代金に関する融資のあっせんに関し、それが成立しない場合の措置について、宅建業者でない相手方に対して、説明を省略しても、宅建業法には違反しない。

〔小問4〕
宅建業者が、建物の貸借の媒介を行う場合の、宅建業法35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、当該賃貸借建物に設定された登記された抵当権について、宅建業者でない相手方に対して、説明を省略しても宅建業法には違反しない。

〔小問1〕解答:誤
解説
重要事項の説明においては、契約の解除に関する事項について説明しなければならない。よって、宅建業法の規定に違反する。

〔小問2〕解答:誤
解説
重要事項の説明においては、損害賠償額の予定または違約金に関する事項について説明しなければならない。宅建業法の規定に違反する。

〔小問3〕解答:誤
解説
重要事項の説明においては、代金または交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容および当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について、説明しなければならない。宅建業法の規定に違反する。

〔小問4〕解答:誤
解説
重要事項の説明においては、取引される物件の上に存する登記された権利の種類および内容を説明しなければならない。売買・交換のみならず、建物貸借においても同様である。宅建業法の規定に違反する。

解説動画では、本問で問われているテーマと周辺知識の解説をしていますので、是非ご覧ください。

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2022「電車で一問一答トレーニング」No.98解説

【問 98】正誤問題

[小問1]
宅建業者が、土地付建物の売買の媒介を行う場合の、法35条の規定に基づく重要事項の説明に関し、取引物件である建物が工事完了前のものであったので、宅建業者でない相手方に対して完了時の形状・構造については説明したが、当該物件の引渡しの時期については説明しなかった。これは宅建業法の規定に違反しない。

[小問2]
宅建業者が、土地付建物の売買の媒介を行う場合の、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、下水道が未整備であったので、宅建業者でない相手方に対してその旨及び整備の見通しについては説明したが、その整備についての特別の負担に関する事項までは説明しなかった。これは宅建業法の規定に違反しない。

[小問3]
宅建業者が、建物の貸借の媒介を行う場合の、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、水防法の規定により市町村の長が提供する図面の有無及び水害ハザードマップにおける当該建物の所在地を、宅建業者でない相手方に対して説明しなかった。これは宅建業法の規定に違反しない。

[小問1]
解答:正
解説
工事完了前の宅地・建物について重要事項の説明をする場合は、工事の完了時における形状・構造等を説明しなければならない。他方、物件の引渡しの時期は、重要事項の説明が義務付けられていない。よって宅建業法の規定に違反しない。

[小問2]
解答:誤
解説
重要事項の説明においては、飲用水・電気・ガスの供給や排水のための設備の整備の状況を説明しなければならず、これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通しや、その整備についての特別の負担に関する事項を説明しなければならない。よって、宅建業法の規定に違反する。

 
[小問3]
解答:誤
解説
建物の貸借の媒介を行う場合の、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関して、水防法の規定により市町村の長が提供する図面の有無及び水害ハザードマップにおける当該建物の所在地を説明しなければならない。

解説動画では、本問で問われているテーマと周辺知識の解説をしていますので、是非ご覧ください。

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民主主義の手柄

昨日の東京新聞に掲載された、

神戸女学院大学名誉教授・凱風館館長 内田樹(うちだたつる)氏 の寄稿文に感動したので、自分の備忘録として概要を書いておくことにした。

※ ネットで記事を検索したけど見つからないため、引用のリンクを貼ることができないことを予めご了承ください(内田氏のブログはこちら➡内田樹の研究室)。

安部元首相の銃撃事件等で暗い気持ちになった、未知の青年から届いた質問のメールに答えるかたちで寄稿文は構成されている。

「民主主義とは何でしょう?暴力をもって訴えれば、選挙などなんの意味も持たなくなってしまう。民主主義者はただ暴力に耐えるだけなのでしょうか。そこまでして民主主義を貫く理由はなんなのでしょう?」

以下、内田氏の返信の要約。

ご指摘の通り民主制はあまり出来のよくない制度です。それは国民の一定数が「まともな大人」でないと機能しない制度だからです。「身銭を切ってでも民主制を守ることが自分の責務だ」と思わない人の比率が、ある閾値を超えると民主制は終わります。

しかし、この制度的な弱点こそが民主制の最大の強みでもあると思います。民主制の未来につよい不安を感じる人たちは、「せめて自分だけでもまともな大人になって制度を支えなければ」と感じるようになります。制度そのものが人々に向かって成熟を懇請し、何人かの市民がそれに応える。こんなダイナミックな統治制度は民主制のほかに存在しません。

帝政や王政や貴族政では、少数の統治者だけが「まともな大人」であれば、残るすべての国民が幼児であっても国は治まります。しかし、このシステムは「賢い独裁者」がいなくなると、たちまち機能不全に陥ることになります。

民主制は非能率で無駄の多いシステムです。「お願いだから成熟した良識ある市民になってください」と懇請する。そんなおせっかいな統治システムです。しかしこれが「民主制の手柄」なのだと思います。

現にあなたは「民主制を守る責任が自分にあるのでは」と感じたから僕にメールをくれたのでしょう。あなたのような若い人が民主制の未来について心を痛めている、その事実こそ民主制がとりあえず遂行的に機能しているあかしです。ですから、民主制はまだなんとか機能していると思って、少し安心してください。

最後に内田氏は、「まともな大人」の比率が7%くらいあれば、その集団が自滅的な選択をすることはたぶん防げるだろう。だが、その比率がそろそろ限界に近づきつつある。と結んでいる。

世界中のどこの国でも、たとえ独裁国家であっても「自国は民主主義国家だ」と主張します。

「民主主義」の教科書的な定義は横に置いておいて、内田氏のいう民主主義が本来われわれが望んでいる民主主義であり、われわれが力を合わせて守っていかなければならない普遍的な価値なのだと思います。